顎関節症とは?
-
日本人の2人に1人が経験すると言われている顎関節症は、特に20~30代に起こりやすいことが分かっています。
顎関節症は顎や口を動かすと、痛みが出たり、口が開かなかったり、顎から音がしたりするのが特徴の症状です。原因は顎の関節を構成している骨や筋肉、靭帯などの異常により起こります。
顎の関節と聞くと整形外科で治療するものと考えがちですが、実は歯科クリニックでも治療が可能です。歯科クリニックでは、主にマウスピースを着用して、夜間の無意識の歯の食いしばりによる関節と筋肉の負担を軽減することを目的としています。
顎関節症の原因
顎関節症の主な原因は次の通りです。
- ①歯並びや噛み合わせの悪さで顎関節に負担をかけている
- ②顎関節と周辺の筋肉が生まれつき弱い
- ③ストレスの蓄積で顎の回りの筋肉が緊張している
- ④事故などの外傷
など
一般的にはこれらの原因で起こりますが、特別な理由がなくてもこれまでのクセの積み重ねが顎関節症を引き起こすことがあります。例えば頬杖を良くつく人は顎関節症になりやすことが分かっています。
顎関節症の症状
顎関節症の症状は次の通りです。
- 顎が痛い
- 顎からカクン・コキンなどの異音がする
- 口が開かない
- 顎が疲れる
など
こうした症状があるにもかかわらず放置していると、顎の形が変わってしまい手術が必要になるケースがあります。
顎に異変があればまずは病院を受診しましょう。
こんな方におすすめ
-
歯科クリニックでの顎関節症の治療法は次のような方におすすめしています。
- 顎に痛みや違和感がある方
- 顎を動かすと変な音がする方
- 口が開かない、もしくは開けづらい方
- 顎が疲れる方
このようなお悩みがございましたら、お気軽に当院にご相談ください。
当院の顎関節症治療の特徴
当院では顎関節症に対して歯科の視点から以下の治療を行っています。
1. 認知行動療法
顎関節症がいくつかの原因によって起きていることが考えられます。そのためまずは、その原因となっている行動を自覚することから始めます。
例えば、歯ぎしりをしている、食いしばりをしている、姿勢が悪いなどの行動です。
これらの行動は知らず識らずのうちに行っていることも多く、自覚することで改善につなげます。
2. 運動療法
運動療法では、顎周辺や口元の筋肉をマッサージして口の開きをスムーズにします。
特にストレスが溜まっていると、筋肉が緊張しやすくなってしまいます。
当院の歯科衛生士と一緒に口元の筋肉を緩めるマッサージ法を覚えて、自宅でも実践してみましょう。
3. 薬物療法
薬物療法では、お薬を使って顎関節周辺に起きている炎症を鎮めます。
薬物療法はあくまでも対症療法ですので、改善のためには認知行動療法や運動療法を取り入れる必要があります。
4. スプリント療法
スプリント療法とは、マウスピースを使って睡眠時の歯ぎしりや食いしばりを予防して、筋肉の緊張を緩和したり顎関節の負荷軽減を目的とした治療法です。
寝るときに着用するだけなので、日常生活に支障はありません。
顎関節症治療のメリット
顎関節症の治療をすることで、痛みを緩和させて口を開きやすくすることで、これまでのように食事を楽しむことができます。
また口が開きやすくなるため、歯磨きがしやすくなって磨き残しを軽減します。
顎への負担が軽減されることで、筋肉の緊張が解放されるため肩こりや頭痛などの症状も改善するでしょう。
顎関節症治療のデメリット
顎関節症治療のデメリットは症状が重たい人ほど治療期間が長くなる傾向にある点です。
顎関節症がある程度進行している場合は、半永久的に夜間マウスピースをつける場合もあります。
またマウスピースをつけることに抵抗がある人の場合は、スプリント療法を受けられない可能性があります。歯並びが顎関節症に影響を与えている場合は、スプリント療法では改善が見られないため、ワイヤーを使って歯並びを改善する必要があるでしょう。この場合は、治療期間が年単位になり費用も大きくかかってしまいます。
顎関節症治療の流れ
1.カウンセリング
まずは、患者様の現在のお悩みをお伺いいたします。その上で、顎関節症はどのような病気なのかを説明し、治療法についても詳しくお話いたします。
2.検査
次に顎関節症の症状を確認します。口はどの程度開くか、痛みはあるかなどを確認していきます。必要に応じてレントゲン撮影やCT検査を行うこともあります。
3.治療
診断結果から症状にあわせた治療を行っていきます。それと同時に虫歯や歯周病などがあればそれらの治療も行います。いずれも保険適用です。
顎関節症になると十分に咀嚼が出来なかったり口が上手く開かなかったりして食べカスが残りやすく虫歯のリスクが高まります。顎関節症の治療をおこないながらお口の中もケアしていきましょう。
4.治療の終了
症状が改善して日常生活に支障をきたさなくなれば治療を終了します。治療期間のおおよその目安は1~3か月程度です。
ただし、日常生活も改善しなければまた顎関節症になる可能性があります。日常生活の改善を図りつつ、気になる症状があれば定期的に診察を受けましょう。